建設-業界構造
施工力の「囲い込み」が始まった—「施工力確保×DX」という同時方程式
2026/4/30

2026年4月、積水ハウスが住宅建設の技能工を正社員化し、2033年に1,000人体制を目指すと報じられた。「クラフター」と名づけた社員大工を高卒中心に年130〜140人採用し、30代チーフクラスで年収約900万円。すでに在籍者は600人に迫る。2月には日経ビジネスが大林組の動きを報じた。下請け職人への冬賞与を過去最高水準にし、「年収1,000万円」を視野に入れた待遇改善を打ち出している。
個別企業の人事施策として読むと本質を見誤る。これは建設業の施工力の調達構造が「市場からの調達」から「囲い込み」へ転換し始めた合図だ。大手が施工力を囲い込む側に回ったとき、地域ゼネコン・準大手ハウスメーカー・リフォーム事業者の施工力の調達先はどうなるのか。そしてこの問いは、DX投資の判断と切り離しては答えが出ない。
1. 何が起きているか——大手の「施工力内製化」の全体像
積水ハウス「クラフター制度」の構造
積水ハウス建設ホールディングスは2024年4月、施工技能者の人事制度を刷新し、正社員大工を「クラフター」と位置づけた。職務等級は「ホープ→クラフター→チーフクラフター→マスタークラフター」の4段階。高卒を中心に2023年の39名から2025年の134名へ採用を約3.4倍に増やし、2033年に1,000名体制を目指す。
処遇水準の引き上げは大幅だ。チーフクラフター(30代の職長クラス)の年収は従来の500〜600万円から最大約900万円(約1.8倍)に引き上げられた。制度1年目にして年収約850万円に達した社員もいる。建設躯体工事従事者30〜34歳の全国平均年収は420万円(令和4年賃金構造基本統計調査)だから、その2倍以上の水準だ。
注目すべきは、この制度が単なる賃上げではない点にある。スキル・マトリックスと呼ばれるデジタル評価基盤を同時導入し、タテ軸(等級進捗)とヨコ軸(多能工化の広がり)を客観的に管理している。全国3か所の訓練校ではトレーナーを約2倍の37名に増員し、型式・工種に応じた技能研修も拡充された。さらに2025年からは新クラフターの離職兆候をデジタルツールでモニタリングする「定着サポートサービス」も本格運用している。
つまりクラフター制度は、施工力の囲い込みとデジタル基盤の整備を最初から一体で設計している。この点は後述する「同時方程式」の伏線になる。
大林組「職人年収1,000万円」の射程
大林組のアプローチは積水ハウスとは異なる。職人を直接雇用するのではなく、下請け職人への手当を直接給付する形で待遇を引き上げ、囲い込む。日経ビジネスの報道によれば冬賞与は過去最高水準に達し、「年収1,000万円」が射程に入った。同じシリーズで報じられた鹿島建設は、下請け幹部を出向で1年間受け入れるという方法を採っている。
手法は違うが方向は同じだ。積水ハウスが「直接雇用」なら、大林組は「待遇引き上げによる間接的囲い込み」。いずれも、市場に「出回る」職人の総量を減らす効果がある。そしてこの動きを支えているのは利益の裏付けだ。大林組の2026年3月期純利益見通しは前期比17%増の1,700億円、清水建設は67%増の1,100億円。選別受注と価格転嫁の成功で原資が生まれている。
他の大手プレイヤーの動き
大和ハウス工業は2025年10月、住友電設に対する約2,920億円のTOBを発表し、2026年3月に完全子会社化を完了した。目的は「データセンター・半導体工場等の建設のための安定した工事体制の確立」——電気・通信工事の施工力をM&Aで一気に内製化した。芳井会長は「電気設備の分野では人手不足と技術者の高齢化が大きな問題」とコメントしている。
一方、セキスイハイムは住宅の約80〜90%を工場で生産し、現場では組み立て・接続工事のみ行う。建設RXコンソーシアムでは竹中・鹿島・大林・フジタの4社が建設ロボットシステムの共同開発に着手した(2025年10月)。これらは「人を囲い込む」のではなく「施工力の必要量そのものを減らす」アプローチだ。
大手の動きを整理すると、3つの方向が見える。 ①直接雇用で囲い込む(積水ハウス型)、②待遇引き上げで間接的に囲い込む(大林組型)、③M&Aで施工力を一括取得する(大和ハウス型)。加えて工場生産化・ロボット化という④の道もある。いずれにしても、大手が各々の方法で施工力を「市場から引き上げている」ことの意味は明確だ。市場に残る施工力の総量が減る。
2. なぜ「囲い込み」が始まったのか——3つの構造要因
技能者の絶対数が減っている
国土交通省資料によれば、建設業就業者のうち55歳以上が35.5%、29歳以下は12.0%。帝国データバンクの調査(2025年)では就業者数は約384万人にまで落ち込んでおり、2004年比で約113万人減少している。大工の平均年齢は約46歳台、左官は約50歳台。一人親方を含む個人事業主はピーク時の約92万人から約79万人に減少した。
国交省が2025年11月にまとめた推計では、2028年度に必要な建設技能者数は約312万人に対し、供給見込みは約276万人。生産性向上を織り込んでも約20万人が不足する。建設分野の外国人技能者(技能実習約11万人+特定技能約3万人=約14.6万人)は全技能者の4.9%。育成就労制度(2027年4月施行)の目標受入数は約20万人だが、特定技能外国人の離職率は16.1%で、離職者の66.9%が1年以内に離職している(民間調査、2025年)。外国人材は重要だが、構造を反転させるほどの規模にはなっていない。
制度変更が「安い外注」を不可能にしている
2025年12月に全面施行された改正建設業法は、標準労務費制度を導入した。元請が下請への支払いを「標準労務費を著しく下回る額」にしないよう努力義務を課し、建設Gメンによる重点調査も並行して行われている。2025年度の公共工事設計労務単価は全職種加重平均で24,852円/日、前年比+6.0%。2012年からの累計上昇率は+85.8%に達し、鉄筋工・型枠工は日額3万円を突破した。
これにインボイス制度(2023年10月〜)が重なる。年商1,000万円以下の免税事業者だった一人親方がインボイスを登録しなければ、元請は仕入税額控除を使えない。社会保険加入義務化(2020年〜)と合わせて「二重の排除圧力」が一人親方にかかっている。建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者登録数は約177.6万人(全技能者の約6割)に達し、就業履歴のタッチ数は累計2.4億件を突破した。
標準労務費、インボイス、社会保険、CCUS——すべての方向が「安い一人親方を使い回すモデル」を構造的に不可能にしている。そしてこれらは「元に戻る」性質のものではない。
大手に「囲い込む原資」が生まれた
前述のとおり、大林組・清水建設をはじめとするスーパーゼネコンの利益は大幅に改善している。竹中工務店は2026年に平均10%超の賃上げ(4年連続ベースアップ)を実施した。利益改善→人材投資→施工力確保→好採算案件の受注——この好循環が回り始めている。
問題は、この好循環が大手に限定されていることだ。中小建設業の賃上げ余力についての体系的データは存在しないが、全国建設業協会の調査では「下請け価格転嫁が不十分」とされ、帝国データバンク調査(2022年)では47%の建設会社が2024年問題への対策を「行う予定なし」と回答している。大手と地域で、囲い込むための原資の格差が広がっている。
3. 地域建設業への波及——「施工力の買い手市場」が終わる
地域ゼネコンの協力会社構造が揺らぐ
地域ゼネコンの協力会社(下請け)は多くが小規模事業者・一人親方で構成される。国税庁統計年報ベースの推計では、建設業一人親方の月収平均は経費控除後で約24万円(年収換算約288万円)。首都圏で材工請けを受ける一人親方は600万円以上になるケースもあるが、積水ハウスのチーフクラフターの年収900万円との格差は構造的に大きい。建設業の後継者不在率は2025年時点で57.3%と全業種で最高水準にある。
大手が正社員化・待遇改善で職人を吸い上げれば、地域の協力会社に残る技能者が減る。「仕事はあるのに施工する人がいない」状態は、地方から先に顕在化する。
準大手ハウスメーカーへの影響
住宅産業でも施工力格差が構造化しつつある。積水ハウスが自社大工1,000人体制を整える一方、大和ハウスは施工を地元の下請け工務店に外注する形が一般的とされている。一条工務店はフィリピン自社工場で部材を製造し施工工数を圧縮しているが、現場施工は協力会社に依存する。内製化に踏み切れない準大手は、「職人の流出」と「施工単価の上昇」を同時に受けることになる。みずほ銀行の建設業レポートは「大手住宅メーカーを中心にサプライチェーン内製化の動きが拡大する可能性がある」とし、「地域のビルダーにとっては施工力が競争要因になりうる」と分析している。
リフォーム市場への波及
資材の目詰まりが解消に向かったとしても、「施工する人がいない」という問題は根深く残る。矢野経済研究所の推計ではリフォーム市場規模は2024年で7兆3,470億円、2025年も約7.3兆円で横ばいだが、工事件数の減少を単価上昇が補う構造に変わっている。住友不動産は2025年11月に「施工キャパシティ不足が成長の阻害要因になりかねない」と公式に認め、新築・リフォームの施工体制共通化という構造改革に着手した。
リフォーム市場の職人は、もともと新築と兼業する層が多い。大手が新築の施工力を囲い込めば、その分だけリフォームに回る職人が減る。加えて、公共工事予算の増加が続く限り、職人のリソースはtoC(町場)からtoB(野丁場)へ静かに流出し続ける。施工力不足は、資材価格のように「時間が経てば戻る」性質のものではない。
4. 施工力確保の選択肢——3つのパターン
大手が施工力を囲い込む中で、地域建設業の施工力確保策は大きく3つに整理できる。
内製化を深化させる
積水ハウス型だ。ただし地域ゼネコン(売上100〜500億円規模)単独での技能者正社員化の先行事例は調査で確認できなかった。福井県の内装工事会社タッセイが自社職人チーム「TAT」を設立しトレーニングセンターを開校した事例(2025年4月)はあるが、大手と同じ規模感は原資と採用力の壁がある。
M&Aで取り込む
大和ハウスの住友電設買収は大手版だが、地域ゼネコンにとっても現実的な選択肢だ。上場企業ベースの建設業M&A件数は2020年の9件から2024年の34件へ約3.8倍に増加した(レコフデータ)。北陸電気工事による日建の子会社化、メイホーHDによる三川土建の買収——施工力と人材を丸ごと確保するために専門工事会社を買収する動きは、ここ数年で明らかに加速している。
アライアンスで束ねる
単独で投資する原資が限られるなら、複数社で施工力をプールする方法がある。東北アライアンス建設(TAC)は2025年6月に東北7社+みずほ銀行の共同出資で設立された。7社の売上合算は約945億円、従業員2,000人超。2026年4月には専門工事会社数百社規模の「東北トラスティア事業協同組合」を設立し、元請・下請の従来構造ではなく「並列型パートナーシップモデル」で施工力をプールする計画だ。2026年2月にはアイリスオーヤマ・EARTHBRAIN・コマツ等異業種6社と戦略的パートナーシップも締結しており、他地域への波及が注目されている。
いずれの選択肢を取るにしても、DXはすべてに掛け算される。ただし施工力確保戦略なきDX単独は機能しない。その理由を次のセクションで論じる。
なお、今後は事業ポートフォリオの再構築にあたっても、施工力を確保できるかどうかが重要な判断変数の一つになってくるだろう。どの市場で戦うかを決める際に、「その市場で必要な施工力を、自社は調達できるのか」という問いが避けて通れなくなる。事業ポートフォリオの再構築そのものについては、別稿で改めて論じたい。
5. 同時方程式——施工力確保戦略とDX戦略は片方だけでは解けない
なぜ「同時方程式」なのか
選択肢を決めただけでは動けない。施工力確保戦略とDX戦略は独立した二つの意思決定ではなく、互いが互いの効果を左右する。施工力をどう確保するかによって必要なDX投資の方向が決まり、DX基盤の有無が施工力確保戦略の実行可能性と効率を大きく変える。
この同時設計を実践しているのが積水ハウスだ。同社は大工を正社員化すると同時に、スキル・マトリックスというデジタル評価基盤を導入し、多能工育成の進捗と成果を定量的に管理している。施工力の囲い込みとDX基盤の整備は、最初から一体として設計されている。施工力確保戦略だけが先にあってDXが後追いだったのではなく、両方を同時に立ち上げたからこそ、1,000人計画が実行可能な設計になっている。
②M&A、③アライアンスについても、同時設計の重要性は構造的に見えている。ただし、こちらは積水ハウスのような実践例が出揃った段階ではなく、2026年6月のCCUS×グリーンサイト連携の開始により、同時設計のためのインフラが整い始めた段階だ。以下では、各選択肢とDX投資の対応関係を整理する。
施工力確保戦略×DX戦略の対応関係
施工力確保戦略の選択によって、対応するDX投資の方向は変わる。
①内製化を選ぶ場合、DX投資の焦点は「一人あたり生産性の最大化」になる。スキルマトリックスによる育成管理、BIMを使った施工前の3D確認、ICT施工による工数圧縮——正社員として囲い込んだ技能者の単価が高い分、一人あたりの生産量を最大化しなければ原資が回らない。積水ハウスがクラフター制度とスキルマトリックスを同時導入したのは、この連立構造を自覚しているからだ。
②M&Aを選ぶ場合、最重要のDX課題は「統合後のデータ基盤」になる。ここで2026年6月に始まるCCUS×グリーンサイトの技能レベル連携が意味を持つ。グリーンサイトは建設業の労務安全書類管理において事実上の業界標準となっているクラウドサービスで、元請500社超、登録企業85万社超(一人親方含む)が利用する。この基盤にCCUSの技能レベル情報(レベル1〜4)が自動連携されることで、買収先企業の技能者レベル別構成をデータで把握し、施工力のデューデリジェンスを客観的に行える環境が整う。逆に言えば、この基盤なしにM&Aを実行すれば、「買ったが施工力の実態が見えない」「工程管理が統合できない」という事態に陥る。建設業M&AのPMI(統合プロセス)では、失敗全体の約60%が「統合プロセス設計の不備」に起因するとされており、情報システム統合の典型的な失敗として「紙とExcelで回していた現場に翌月から新システムを一斉導入して混乱を招く」パターンが報告されている。
③アライアンスを選ぶ場合、複数社間の共通プラットフォーム(工程管理、リソース配分)が重要になる。TACがEARTHBRAIN・コマツと戦略的パートナーシップを締結したのは、複数社にまたがる施工力プールを効率的に運用するにはデジタル基盤の整備が欠かせないという判断があったからだろう。
施工力確保戦略なしにDX単独でツールだけ入れるケースは失敗する。 ここで注意すべきは、建設業の「DX」には二つの層があることだ。一つは設計・施工管理レベルのDX(BIM、施工管理クラウドなど)、もう一つは技能者・職人レベルのDX(スキルマトリックス、CCUS、ICT施工など)。前者を使うのは設計者や現場監督であり、後者の対象は本稿で論じてきた施工力の担い手である技能者そのものだ。
施工力確保戦略と直結するのは後者だ。スキルマトリックスは技能者を内製化して初めて意味を持ち、CCUSの技能レベル連携は技能者の確保・配置と一体でなければ活きない。ICT施工を導入してもオペレーターを確保できなければ「機械はあるが動かせる人がいない」状態になる。施工管理クラウドを入れても、協力会社がデジタルツールに対応できなければ、元請だけがデータを入力する「一方通行のDX」に陥る。
一方、設計・施工管理レベルのBIMにも構造的な課題がある。Arentが2026年3月に発表した「第3回 建設DXの現在地」調査(有効回答411件)によれば、BIM活用で効果が得られていない最大の理由は「結果として二重作業になる」で20.3%、2番目は「協力会社でBIMが導入されておらず連携ができない」(15.7%)。BIM導入企業の約45%が「積極的には活用していない」と回答している。BIMを扱うのは設計者・施工管理者であり技能者そのものではないが、現場の人材構成と切り離してDXツールだけ導入しても機能しないという構造は共通している。
失敗パターン:バラバラに決めるとこうなる
施工力確保戦略とDX戦略をバラバラに決めると、典型的には二つの失敗パターンに陥る。
第一に、「DXツールを入れたが、現場が回らない」。ICT建機を導入したがオペレーターが確保できず稼働率が上がらない。施工管理クラウドを導入したが協力会社が対応できず、元請だけがデータを入力し下請けはFAXと電話のまま——デジタルツールと現場の人材構成の不一致だ。スキルマトリックスのような育成管理基盤も、対象となる技能者を内製化していなければ導入しようがない。施工力をどう確保するかを決めないままDXツールだけ選定すると、ツールの前提条件である「使う人」が揃わない。
第二に、「協力会社を買収したが工程管理が統合できない」。販売・生産・会計の基幹システムが別々に動き続け正確なKPIが見えない、顧客情報や取引履歴が統合できず意思決定が二重構造化する、各現場の独自ルールが整理できず安全書類の扱いがバラバラのまま統合が進まない——これらは、M&Aで技能者・職人は獲得できてもデジタル基盤の統合がなければシナジーが出ないことを意味する。
Opinion
1. 施工力は「コスト」から「資産」に変わった
長年、建設業は施工力を変動費(外注費)として扱ってきた。景気の波に合わせて協力会社を増減させるのが「合理的」だった。しかし、供給側(職人の数)が構造的に減少し、制度的にも「安く調達」ができなくなった今、施工力はバランスシートに載らない最重要資産になった。積水ハウスがクラフター1,000人に投資しているのは、施工力をコストではなく資産として扱う判断を下したからだ。この認識転換ができた企業と、「コストが上がった」としか読めない企業の間で、5年後の競争力に決定的な差がつく。
2. 最も高くつくのは「全部やる」と「様子を見る」
内製化・M&A・アライアンス・DX——選択肢を並べると「全部やる」が安全に見える。しかし、4つ全部を同時に立ち上げる経営体力を持つ地域ゼネコンは存在しない。選択とは「やらないことを決める」ことであり、やらないことを決められるのは経営者だけだ。
一方で「様子を見る」という選択肢は、大手が施工力を囲い込んでいる最中に市場に残る施工力が毎月狭くなることを意味する。職人の年齢構成を見れば、5年後にどれだけの技能者が市場から消えるかは推計できる。東北アライアンス建設が2025年6月に設立されたのは、待っても市場が好転しないと判断したからだ。動かないことのコストは、毎月の案件単位で発生している。
3. 最も危険なのは「施工力確保戦略とDX戦略をバラバラに決めること」
施工力確保戦略とDX戦略は、バラバラに立てるものではなく、連立的に設計する必要がある。本稿で見たように、施工力をどう確保するかによって必要なDX基盤は変わり、DX基盤の有無が施工力確保戦略の効果と実行性を大きく左右する。これは「両方やる」の話ではなく、「片方の変数を動かすともう片方が変わる」連立方程式だ。
「ICT建機を入れたが動かせる人がいない」「施工管理クラウドを入れたが協力会社が使えない」——施工力確保戦略なしにDXツールだけ入れた結果だ。「外注先をM&Aで取り込んだが工程管理が統合できない」——DX基盤なしに施工力確保だけ先行した結果だ。「資材が足りない」が一時的な波であっても、「施工する人がいない」は構造的な壁であり、時間が経っても解消しない。
この同時方程式を、人事とITと経営企画をまたいで解ける体制が社内にあるか。なければ、誰がその設計を担うのか——その問いが、すべての選択肢の先に残る。
主要参考文献
日経ビジネス「積水ハウス、大工1000人正社員化の賭け」(2026年2月13日)——シリーズ「現場の復讐」第9回
日経ビジネス「冬賞与が過去最高の大林組 『職人年収1000万円へ』」(2026年2月18日)——同シリーズ第13回
積水ハウス プレスリリース「高卒"住宅技能工"クラフター 新施策で育成・採用を大幅強化」(2023年5月29日)
積水ハウス建設HD「10年間で3倍の"クラフター"1000名計画」ニュースリリース(2025年5月7日)
大和ハウス工業 プレスリリース「住友電設株式会社に対する公開買付け」(2025年10月30日)
国土交通省「建設労働関係統計資料」「建設労働需給調査」(2025年12月分)
国土交通省「公共工事設計労務単価」(2025年度:全職種加重平均24,852円/日、前年比+6.0%)
国土交通省「建設分野外国人材育成確保あり方検討会」取りまとめ(2025年11月)
Arent「第3回 建設DXの現在地」調査(2026年3月発表、有効回答411件)
エムシーディースリー プレスリリース「グリーンサイトとCCUS技能レベル情報の連携を開始」(2026年4月14日)
東北アライアンス建設 設立発表資料(2025年6月30日)
ヒューマンリソシア「建設技術者・技能工の不足推計」(2023年版)
帝国データバンク「建設業就業者数の推移」(2025年)
レコフデータ「建設業M&A件数推移」(上場企業ベース、2020〜2024年)
住友不動産 ニュースリリース「新築・リフォーム事業の構造改革」(2025年11月11日)
矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査」(2025年)
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